ホテルや旅館での喫煙事情とは?宿泊業界の現状を見てみよう。

全国各地を旅することが好きな人もいるのではないでしょうか?
そんなときによく利用するのが「ホテル」、「旅館」です。
非日常的な空間を提供してくれる場合もあります。
しかし、最近のホテル、旅館では禁煙対策をしている施設も増えてきました。
そこで今回は、施設の喫煙(禁煙)事情を紹介します。
「部屋で優雅にタバコを吸って…」という光景は減るかもしれない
チェックインした後に「客室から外の景色を眺めながらタバコを吸うのが最高の贅沢だ。」と感じる人もいると思います。
喫煙者にとっては、至福のひとときです。
しかし、そんな部屋も時代の流れとともに、減少するかもしれません。
場合によっては、喫煙できる部屋がなくなる恐れもあります。
初めに、旅館・ホテルの喫煙対策が厳しくなると言われる理由を見ていきたいと思います。
1.喫煙に対する法律強化
健康に対する関心も高くなっています。
それもあってか、禁煙強化する法律案を検討中です。
厚生労働省を中心に「屋内全面禁煙化」の法律改正案を制定しようとしています。
現段階では、法律改正には至っていませんが2020年の東京オリンピックを目途に可決される可能性も。
しかも、世界保健機関(WHO)によると、49カ国で屋内全面禁煙を採用している地域があるとの調査結果が出ています(※1)。
つまり、日本も屋内全面禁煙化になる可能性は十分にあるのです。
(※1)参考:受動喫煙対策の動向-国立国会図書館デジタルコレクション(http://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_10212024_po_0925.pdf?contentNo=1)
2.自治体からの指導
市区町村単位で喫煙対策を強化している地域もあります。
例えば、福島県郡山市では2017年12月1日から、市内の公共施設敷地内での喫煙を全面禁止にする条例が可決されました(※2)。
つまり、国の法律で決められなくても、自治体の条例で禁煙対策が強化されることも十分あります。
そうなると、市職員の立ち入り検査が始まる恐れも。
その結果、ホテル側も禁煙対策を強化せざるを得ないのです。
(※2)参考:河北新報(http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201708/20170826_63040.html)
3.喫煙者の減少
喫煙者の減少も理由の一つです。
2017年のJTの調査によると、成人の喫煙率は「18.2」%という結果が出ました(※3)。
すなわち、10人に約1.82人の喫煙者がいる計算です。
施設によっては、禁煙の部屋は満室なのに、喫煙の部屋は空いている状態になっているケースも。
そのため、禁煙タイプの部屋を増やしている施設も見受けられます。
禁煙者向けの快適な環境を作ろうとする施設も増えているのです。
(※3)参考:2017年「全国たばこ喫煙者率調査」、男女計で18.2%-JT(https://www.jti.co.jp/investors/library/press_releases/2017/0727_01.html)
部屋割りの設定は大きく分けて3通り
この章からは、施設の部屋割りタイプを紹介します。
現段階では、大きく分けて3通りあります。
1.全室喫煙可
どの客室でも喫煙できるタイプです。
現在ではだいぶ減りましたが、10年以上前だと全室喫煙可の施設は多かったです。
地方の民宿や小規模な旅館では、このパターンを採用している施設も見受けられます。
2.喫煙可と禁煙の部屋が混在
喫煙可の部屋と不可の部屋が同建物内にあるパターンです。
ホテルの大半は、このパターンだと言っても良いでしょう。
ただ、さきほども話しましたが、喫煙できない部屋の割合を増やしているホテルもあります。
都市部を中心に、今後この動きは大きくなるかもしれません。
3.全室禁煙
最後は、全室禁煙ルーム化されている施設です。
街中のビジネスホテルを中心に見る機会も増えました。
館内に喫煙所を設置している場所もありますが、客室での禁煙化が喫煙者にとってストレスになる場合もあるでしょう。
ただし、施設によっては喫煙所すら設置していない場所もあります。
車を数分間走らせないと、喫煙できない場合もあるので不便に感じるでしょう。
禁煙タイプの部屋を増やすメリット
なぜ、禁煙タイプの部屋が増えているか不思議に感じる方もいるかもしれません。
しかし、このタイプの部屋を増やすことでホテル側にもメリットはあるのです。
そこで最後に、メリットを紹介します。
ホテル側の事情も理解しておくと、禁煙者向けの施設が増えている理由も分かるはずです。
1.宿泊者の増加が見込める
最近では、国内でも非喫煙者の割合は増えています。
そのせいもあってか、喫煙タイプの部屋に宿泊しない方も多いです。
一番の理由は客室内に充満する「タバコ(ヤニ)臭」です。
消臭剤を使っても、なかなかとれません。
なかには、ヤニのニオイを嗅いだだけで気分を悪くする人も。
良いホテルだったとしても、禁煙タイプの客室が空いていなければ泊まらない人もいるのです。
逆に、禁煙タイプの部屋を増やせば、非喫煙者に提供できる客室も自然と増えるので売上アップも期待できます。
また、外国人観光客にもタバコ嫌いの方はいます。
東京や大阪、北海道(札幌)など、海外からの来客が多い地域でも「客室内全面禁煙化」を推奨しているホテルは、徐々に増えているのが現状です。
今後も、世界各国で禁煙化の加速が起こるでしょう。
2.部屋が汚れない
タバコには、有害物質がたくさん含まれています。
特に、ヤニは壁紙を黄色くする原因として有名です。
喫煙タイプの部屋にすると、壁紙がどんどん汚れ客室内の見栄えも良くありません。
しかも、ヤニで汚れた壁紙は拭いても汚れは完全にとれないです。
ただ、禁煙タイプの部屋にすれば、ヤニで壁紙が汚れることもないので、客室内がきれいに見えます。
その結果、お客様から「客室がとてもきれいだった~」など良い口コミが入り、施設の評判が良くなる可能性もあるのです。
3.火災になる心肺も少ない
客室内で喫煙されることがないので、寝たばこなどの心配もありません。
すなわち、タバコによる火災が起こる可能性も0ということです。
客室内が火事になり、客室内の家電から家具まで燃え移ると、全て使い物にならなくなります。
最悪の場合、別の客室へ火が移り他のお客様にも被害を及ぼす場合も。
火事の後始末にかかる費用や、施設の評判が下がったりで倒産へ追い込まれるケースもあります。
安全性の面から言っても、禁煙タイプの部屋は安心できるのです。
4.タバコの煙で迷惑をかけることもない
客室にベランダがあると、外へ出て喫煙する人もいると思います。
しかし、副流煙が隣の客室へ流れ込むと、迷惑をかける場合も。
客人同士でトラブルになるケースも0ではありません。
禁煙タイプの客室を増やせば、ベランダで喫煙する人もいなくなるので、副流煙の被害が抑えられるでしょう。
ただ、ホテルによっては、客室内の喫煙はNGだがベランダだったらOKにしている施設もあります。
今後も、喫煙者の肩身はますます狭くなる
タバコが身体に悪いことだと世の中に広がっている以上、今後も喫煙者の肩身はますます狭くなることが予想されます。
現在は館内に喫煙スペースがある場所も、そのうち撤去される可能性も十分にあるでしょう。
それだと、喫煙所を探すだけでイライラしてしまいますよね?
イライラしたくない方は、タバコからの卒業をおすすめします。
喫煙所を探したり、タバコを吸う時間も減るので、別のことに時間を回せるでしょう。
現在は、いろいろな禁煙グッズも出回っています。
ぜひ、自分に合う禁煙方法を見つけて、快適な旅行を楽しんでみてはどうでしょうか?
※本記事に掲載されている内容などは2017年8月現在のものです。