早めの対策が大切!タバコが及ぼす赤ちゃんへの害にはどんなものがある?

これまで喫煙していた女性でも、妊娠をきっかけに医師から禁煙指導されたという人は多いでしょう。それもそのはず、妊娠中のママがタバコを吸うと、赤ちゃんの健康にさまざまな影響が現われます。そこで、今回は妊娠中でもタバコをやめられないというママに向けて、タバコによる赤ちゃんの害を紹介します。
(1)妊娠中にタバコを吸っているママはどのくらい?
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妊婦のタバコはお酒をと並んで、タブーとされていますが、それには明確な理由があるのです。実際に、妊娠中の女性のなかでどれくらいの割合のママが、タバコを吸っているのか見てみましょう。
厚生労働省による統計で、乳幼児のいる母親12426人に対する妊娠中の生活についての調査が行われたところ、次のような結果が出ました。
- 妊娠中にタバコを吸っていなかった人の数と割合 7052人(92.2%)
- 妊娠中にタバコを吸っていた人の数と割合 384人(5.8%)
また、妊娠中にタバコを吸っていた人で、1日に吸うタバコの数は6~10本と10本以上の人が、過半数を占めたのです。調査の結果から、妊娠中でもなかなかうまく禁煙できないママが一定数おり、1日に吸うタバコの数のコントロールも難しいことが分かります。
(2)妊娠中のタバコがなぜいけないか?
タバコは吸っている本人だけでなく、周囲の人にも健康への被害を与えるものです。ママがタバコを吸うと、ママの体内で次のような影響を与えます。
- 母体が酸素不足になる
タバコに含まれている有害物質のひとつに、一酸化炭素があります。一酸化炭素は、酸素を運ぶ血液中の赤血球と結びつくことで、ママの身体に十分な酸素が行き届きづらくなるのです。また、タバコに含まれているニコチンは、血管を収縮させる働きがあるので、血流を悪くさせます。血流が悪くなると、胎盤の機能が低下して、赤ちゃんに必要な酸素や栄養が届きづらくなるのです。
- 有害物質がたくさん取り込まれる
胎盤を通して、赤ちゃんに有害物質がどんどん蓄積されていき、赤ちゃんの健康にさまざまな影響を与えます。
(3)妊娠中のママのタバコが赤ちゃんに及ぼす影響
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妊娠中のママがタバコを吸うことで起こる体内の変化が分かったところで、具体的なママや赤ちゃんの健康リスクを見ていきましょう。
早産や流産の確率が高くなる
妊娠中にタバコを吸ってる場合、妊娠中にタバコを吸っていない場合に比べて、早産や流産のリスクが高まります。さらに、1日吸っているタバコの本数が多ければ多いほど、リスクは高まります。また、妊娠中の喫煙は、死産のリスクも高めることが分かっています。
小さい赤ちゃんが生まれやすくなる
ひと昔前までは、低体重で生まれてくる赤ちゃん(低出生体重児)のことを未熟児と呼んでいた時代もありますが、妊娠中のママがタバコを吸っていると、低出生体重児が生まれる確率が、2倍も高くなります。
また、たとえ赤ちゃんが無事に平均体重で生まれたとしても、喫煙をしている妊婦から産まれる赤ちゃんは、喫煙をしていないママから産まれた赤ちゃんと比較して、平均して200 g軽く生まれるということが統計で明らかになっています。
乳幼児突然症候群(SIDS)の原因になる
乳幼児突然死症候群は、病気にかかっていない赤ちゃんや幼児など前ぶれもなく、突然死してしまうことをいいます。実は、乳幼児突然死症候群は1歳未満の赤ちゃんの死亡原因の3位にもなっているものです。うつぶせ寝などが原因のひとつとされていますが、タバコも危険因子のひとつになっています。
赤ちゃんがニコチン依存症になる
喫煙者がしばらくの時間タバコを吸っていないと、イライラすることがありますが、これはニコチン依存症によるものです。ママが妊娠中タバコを吸っていれば、赤ちゃんにもニコチンが取り入れられ、体内のニコチン量が減ることで、イライラしたり、夜泣きの原因となります。
赤ちゃんが病気になりやすくなる
妊娠中のママがタバコを吸っていると、将来赤ちゃんが次のような病気になるリスクが高まります。
- 喘息
- 気管支炎
- 肺がん
- 中耳炎
将来子どもの学力に影響が出る
妊娠中にタバコを吸っていたママから産まれた子どもは、妊娠中にタバコを吸っていなかったママから産まれた子どもと比較して、学力が低下しやすくなる傾向があります。
(4)妊娠が分かったら早めに禁煙しよう
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妊娠中の禁煙についてですが、妊娠の初期にタバコをやめれば、妊娠中のタバコによる赤ちゃんの健康リスクを下げることができます。妊娠をしたのになかなかタバコをやめられないというママも、自分の赤ちゃんのために頑張って卒煙に取り組みましょう。もちろん、妊娠をきっかけにせずとも、自分の身体の健康や美容にとっても卒煙することは大切です。さらに、これから妊娠を望んでいるママの場合、タバコによる不妊のリスクが高まるという報告もあるので、妊活に取り組んでいる人でも卒煙を考える必要があるでしょう。
(5)赤ちゃんが生まれたら、タバコを吸ってもいい?
妊娠中はタバコがダメだとよく言われていますが、赤ちゃんが生まれれば再びタバコを吸ってもいのではないかと考えるママもいるかもしれません。赤ちゃんが生まれた後でも、引き続き禁煙は必要です。最近では母乳育児が赤ちゃんに最も優れた栄養だという認識が広まっていますが、母乳はママの血液からできるもの。出産後のママがタバコを吸えば、ニコチンなどタバコの有害物質が、母乳を通して赤ちゃんに取り込まれてしまうのです。
(6)ママが禁煙していても注意したいタバコの害
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妊娠中のママがせっかくタバコをやめても、注意したいのが周囲の人の喫煙です。たとえば、パパや職場の人など、周囲の人がタバコを吸っていることは意外に多いもの。妊娠中のママは自分だけでなく、周囲の人の理解も必要になります。
パパがベランダでタバコを吸っていても影響がある
赤ちゃんの健康を考えて、ベランダなどの戸外に出るパパはよく見かけられます。だからといって、赤ちゃんがタバコの煙を吸わなくてすむかと言えば、そういうわけでもありません。戸外でタバコを吸っていても、風に乗ってタバコの煙は屋内に入ってくるので、注意が必要です。
副流煙だけでなく喫煙者の吐息も危険!
タバコから出る副流煙が健康に悪い影響を与えることは、よく知られるようになりましたが、実はタバコを吸っている人の吐息も危険です。ママが妊娠中だからとパパが戸外でタバコを吸っても、有害物質を含んだ吐息は、赤ちゃんにも影響を及ぼします。
赤ちゃんが誤飲してしまうケースも
月齢が進むと赤ちゃんも好奇心が旺盛になり、自分の意思で物を掴んだりするようになります。特に、この時期の赤ちゃんでは、手に取った物を口に入れて確認する赤ちゃんも多くなります。ここで注意したいのが、赤ちゃんの誤飲です。誤飲とは食べ物以外の異物を口に入れて飲み込んでしまうことですが、タバコは赤ちゃんの誤飲しやすい物第1位。「ありえない」と思うママやパパもいるかもしれませんが、子育ては思いのほか忙しく、片付けがままならないこともあります。タバコに火がついていれば、赤ちゃんのやけどの原因にもなるので、それならいっそ夫婦で卒煙することが望ましいでしょう。
(7)まとめ
妊娠中だけでなく、出産後の喫煙は赤ちゃんの健康に大きな被害を与えるものです。大切な自分の子どものために、夫婦で早い段階で卒煙に取り組んでいきたいですね。また、なかなか卒煙ができないという人は、医療機関の禁煙外来を頼ってみることをおすすめします。