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「続けても大丈夫?」不安や落ち込み…禁煙とうつ病の関係って?

タバコをやめると多くの人が悩まれるのが、不安や落ち込みなどのうつ症状です。症状が強い場合には、「このまま禁煙しても大丈夫なのか?」と心配になってしまう人もいるのではないでしょうか。この記事では、タバコとうつ症状の関係や、うつ病のある人の禁煙について解説します。

 

1. うつ病ってどんな症状?

気分が落ち込んだり、悲しくなったりするような状態を抑うつ状態といいます。抑うつは、悲しいことやショックな出来事が訪れたときに、誰もが日常生活で経験することです。

しかし、一定期間を経ても抑うつ症状が続いたり、症状が重い場合は、うつ病という心の病気である可能性があります。うつ病の症状には以下のものがあります。

  •  悲しい、涙もろい、イライラする
  •  元気がない、集中力がない
  •  眠れない、死にたくなる
  •  食欲がない、性欲がない、胸がドキドキする

など

ちなみに、生きている間に病気に発症する割合(生涯有病率)は、うつ病の場合では3~7%とされており、比較的身近な心の病気でもあります。近年、うつ病を抱えている人の割合は増加傾向にあり、日本でも100万人以上の患者がいることが分かっています。

このことから、うつ病は「心の風邪」と表現されることもありますが、症状が重い例では自分の命を断とうという衝動が起こることも。日本は、世界的に見ても自殺が多い国で、年間の自殺する人の数が3万人を超えています。自殺をされた方の4割が、うつ病が原因とされており、現在国でもメンタルヘルス対策が掲げられています。

 

2.うつとタバコの関係

決して軽くみることのできないうつ病ですが、タバコとも密接な関連が指摘されています。喫煙をしている人では、うつ病になる確率が3倍(※1)になるという報告があります。

喫煙でうつ病になるメカニズムについては、まだはっきり分かっていないものの、やはりニコチンによる脳の作用が関与されているのではないかと考えられています。

しかし、禁煙をすればうつ病になるリスクを、タバコを吸っていない人と同程度まで下げられることが分かっています。タバコの身体の健康への影響は知る人が多いですが、禁煙は心の病気を予防することにも役立つのです。

 

3.禁煙によるうつ症状はうつ病?

禁煙をすると、多くの人にイライラしたり、気分が落ち着かなくなったりなどのうつに似た症状が現われます。タバコをやめることによる気分の不快は、ニコチン依存によるものですが、禁煙を挫折してしまう大きな原因の1つです。

タバコによる気分不快は次のようなメカニズムで起こります。

  • タバコを吸うと、ニコチンが体内に取り込まれて、脳からドーパミンという快楽物質が放出され、気分がスッキリする
  • 次第に体はニコチンをどんどん欲するようになります(ニコチン依存)
  • 依存状態が強くなると、タバコを吸っていない時間にイライラしたり、落ち着かなくなったり、タバコの頻度や量が増えていく。

以上のように、タバコのために「ちょっと」とその場を離れる人がいるのは、ニコチン切れによるものです。しかし、これが禁煙になると、タバコを吸わないことによる気分の不快がさらに増すようになります。この症状を離脱症状と呼びますが、うつ病とは異なるものです。

 

4.うつ病の人とタバコの関係

もう1度、うつ病とタバコの話に戻りましょう。うつ病の人の喫煙率についてみてみると、うつ病をはじめ心の病気をかかえている人の喫煙は、そうでない人と比べても高いことが分かっています。少し昔になりますが、2009年から2011年にアメリカの疾病管理予防センター(CDC)で行われた調査で次のことが報告されています。

  • うつ病の人の喫煙率は70%以上
  • うつ病の人の喫煙率は、そうでない人の2倍

うつ病など心の病を抱えている人の喫煙率が高い理由は、タバコには一時的に気分をスッキリとさせる効果があるためです。このことから、うつ病の人に限らず心の病気を抱えている人は、タバコに依存しやすい傾向にあります。また、喫煙そのものもうつのリスクを上げることも影響している可能性があります。

しかしながら、うつ病であるなしに関わらず、タバコによる健康への被害は同じものです。さらに、うつ病のためにヘビースモーカーであれば、より害は大きいものとなるでしょう。うつ病をはじめとする精神病患者さんにも、禁煙対策は行われなくてはなりません。

 

5.うつ病の人は禁煙をしてよいのか?

心が健康な人でも、イライラや落ち着きのなさといった精神障害がでる禁煙ですが、うつ病の人の禁煙は難しいと考える人もいるかもしれません、

確かにうつ病の人では禁煙により病状が悪化しやすいため、精神科の医師の中には、無理に禁煙を勧めない人もいるほど。それどころか、日本禁煙学会によれば、治療のご褒美として、タバコをプレゼントする国もあるとか。

このように世界では受動喫煙防止などの禁煙対策が進められている中で、精神病患者さんの禁煙対策への取り組みは遅れを取っている状況です。

しかし、タバコがうつ病のリスクを上げるという可能性のほかにも、うつ病の人が禁煙をすべき理由はほかにもあります。

多くの人が知らないことですが、タバコに含まれている成分の中には、精神病の治療薬の代謝を早めるものが含まれています。これは、喫煙をすると薬の持続効果が短くなるということ。たとえば、うつ病ではなく統合失調症である患者では、喫煙する人の方が、入院回数や薬の量が増えていることが分かっています。

タバコを吸うことで、身体の健康だけでなく、心の病が悪化する可能性もあるのです。

 

6.うつ病の人の禁煙が進まないわけ

これまで、うつ病をはじめとする精神病の患者さんの禁煙対策は積極的に勧められたことはありませんでした。精神病患者さんの禁煙対策が進まない原因には、は次のことが考えられています。

 

(1)精神病の人は禁煙したくない?

よく勘違いされやすいのが、うつ病など心の病を抱えている人は、禁煙を望んでいないということです。しかし、精神科病院における喫煙に関する調査においては、精神病で入院している患者さんで禁煙をしたいと考えている人は、半数近くもいたことが報告されています(※)。心の病気を抱えている、抱えていないに関わらず、タバコを吸っている人は何らかの理由で禁煙を望んでいるのです。

 

(2)治療が精神病だけにフォーカスされがち

うつ病など精神病が医療機関を受診すると、まずはうつ病そのものの治療が重点的に行われます。未来の健康リスクよりも、今目の前にあるうつ病の症状が優先されてしまうのです。

 

(3)病状が悪化する可能性があるから、あえて禁煙を勧めない

禁煙をすると離脱症状により、病状が悪化しているように見えます。確かに、禁煙成功まではツライ道のりです。しかし、日本禁煙学会では、いったん禁煙が成功すれば、うつ病やそのほかの症状が増えることはないということを指摘しています。

 

7.うつ病の人にも禁煙支援を

うつ病をはじめとする精神病患者さんにも禁煙支援は必要なものです。しかし、現状として禁煙治療と精神科医の連携など、まだまだベースとしての禁煙支援は整っているとはいえません。

うつ病患者さんで禁煙する場合は、1人で取り組むのではなく、医療機関で禁煙治療を行った方がよいでしょう。

禁煙治療に臨む場合、精神科医師と連携を取ることが大切です。すでに、かかりつけの精神科医禁煙の意思を担当医に伝えて、禁煙治療を紹介してもらいましょう。最近では、数こそ少ないものの精神科クリニックで禁煙外来を設けているところもあるので、確認してみてください。

引用:

  • ※1:ファイザー すぐ禁. jp / タバコはさまざまな病気の原因に! / http://sugu-kinen.jp/harm/disease/depression.html
  • ※2:川合厚子 / 単科精神科病院における患者と職員の喫煙状況 / https://www.jstage.jst.go.jp/article/jph/54/9/54_626/_pdf

参考:

  • 厚生労働省 みんなのメンタルヘルス / http://www.mhlw.go.jp/kokoro/speciality/detail_depressive.html
  • 日本禁煙学会 / 喫煙と精神疾患のつながりを断ち切る / http://www.nosmoke55.jp/data/1107smoking_and_mental_illness_breaking_the_link.html

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